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旅のノート★困った話
 その2・入国審査(1)

 ロンドン・ガトウィック空港。パスポートコントロールには、すでに長蛇の列ができていた。
 イギリスの入国審査は厳しく、無職の者(私だ!)や、帰りの航空券を持たない者、持っていても1年オープンの切符で日付の入っていない者など、少しでも怪しい(つまり不法就労しそうな)者は、入国できないと聞いていたので、どきどきしながら順番を待った。
 見れば、コントロールの脇の方に、審査ではねられたらしい人たちが、不安そうな顔つきで座っている。ほとんど東洋系の顔。げー、私もあそこへやられちゃったらどうしよう……。
 などと考えているうちに、いよいよ私の番がやってきた。

 うー、緊張するぜ!
 頭のなかで、「地球の歩き方・旅の会話集」を反芻しながら……。

 厳しい顔つきの係官が、私のパスポートを見ながら、キングズ・イングリッシュでまず第一問。
 「訪問の目的は何ですか?」
 会話集そのままの質問だ。
 「観光です」こちらも型どおりに答える。
 「イギリスにどのくらい滞在しますか?」
 「2週間です」(これはうそだ)
 「帰りの航空券は持っていますか?」
 へいへい。私は航空券を差し出した。ここまでは、マニュアルどおりだったが、次に係官は、イギリスの次はどこへ行くかと尋ねてきた。
 「フランスです」
 すると、係官はさらに次の質問を発してきた。

「ナントカカントカビザ?」

 はあ?
 あがりかけた私の頭は、最後の「ビザ」という言葉しか聞き取れなかった。
 「パードン?」
 聞き返すと、どうやら、フランスに入るのにビザは持っているのかと聞いているらしい。
 なんでそんなこと聞くんだよ。
 予期していなかった質問に、すっかり舞い上がる。
 日本人の場合、フランスに入国するのに、3ヶ月以内の滞在ならビザはいらないはずだ。しかし、英語でなんて言えばいいんだ?
 パニクった私の頭からは、英文法がすっかりぶっとんでしまった。
 えーと、えーと……

 「アイ・ニード・ナット・ビザ!」

 ひぇー。これじゃ、中学1年生以下だぜ。
 でも、どうやら通じたらしい。係官は無表情のまま(笑われなくてよかった)、ポンとパスポートにハンコを押してくれた。
 ふー。第一関門突破!

 その3・入国審査(2)

 ほっとしながらゲートを出ると、脇の方に日本人の女の子たちが数人かたまって、なにやら騒いでいた。中の一人が半泣き状態だ。
 聞けば、その女の子の帰りの航空券の日付が、なんとその日、つまり到着当日になっているという。それで、脇にはねられてしまったらしい。
 えー、そんなことがあるわけ?
 「どうして、こんなことになるの?」と、彼女は涙声。
 むりもない。明らかに、タイプミス、しかも信じられないようなタイプミス(だれが到着したその日に帰るんだよ)だけど、切符を確認しなかった彼女も彼女だよなあ。航空会社に掛け合えばなんとかなるんだろうか?
 気にはなったが、仲間もいたし、他人の私がいても役に立ちそうにもないので、そのまま空港を後にしたけど……。到着そうそう、悲惨。こういう目にだけはあいたくないな……

 と思っていたら。
 なんと、2度目のヨーロッパ旅行の時、私も同じめにあってしまった。

 出発3日前に、自宅に航空券が届いたのだが、見てびっくり!
 出発日の5月31日はあっているが、帰国日が予定の7月5日ではなく、6月5日になっている!!JulyJuneが間違ってタイプされているのだ。
 上の女の子の例は、めったにない特別なケースだと思っていたのに。
 くっそー、出発まであと3日しかないんだぜ。どうするんだ?

 大慌てで旅行会社に電話をかけた。
 発券し直すから、間違っている航空券を宅急便で(もちろん送料は向こう持ち)送り返してくれ、という返事。
 「絶対まにあうんでしょうね(まにあわなかったら、絞め殺してやるゾ)」と念を押すと、「大丈夫」の返事。
 ほんとにまにあうのかよ、と気をもんでいたが、出発前日、幸いにしてちゃんと届いた。ふー。

 ★ 教訓

 切符を受け取ったら、名前、出発日、帰国日をしっかり確認しよう!
 私の場合、日本を出る前にわかったからよかったものの、到着した空港で気づいたら悲惨です。たとえ無事に解決できたとしても、余計な時間をとられるし、なにより出鼻をくじかれて、気持ちが落ち込んでしまいます。

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